京都府にゆかりのある坂口 志文先生がノーベル生理学・医学賞を受賞されました。その研究内容を、専門知識がなくても分かるようにまとめました。
🧬 坂口 志文先生の研究は一言でいうと?
「免疫が暴走しないためのブレーキの存在を見つけた」
そのブレーキこそが 制御性T細胞(Treg:ティーレグ) です。
🛡️ 免疫には「アクセル」と「ブレーキ」が必要
体の免疫は、ウイルスやがんを攻撃する“アクセル”だけだと…
• 自分の体を攻撃(自己免疫疾患:リウマチ、1型糖尿病など)
• アレルギー反応が暴走(花粉症、アトピーなど)
という問題が起こります。
坂口先生は、
「免疫が必要な時だけ働いて、不要な時には止まる仕組み」
の中心が 制御性T細胞(Treg) であることを世界で初めて明らかにしました。
🌿 制御性T細胞(Treg)の役割を簡単に言うと?
▶ 免疫の暴走を止める“ブレーキ担当”
• 自分の体への誤攻撃を止める(=自己免疫を防ぐ)
• アレルギーの過剰な反応を抑える
• 炎症が行きすぎないようにコントロールする
これを 免疫自己寛容・免疫恒常性 といいます。
🧩 坂口先生が明らかにした重要ポイント
1. Tregという免疫ブレーキ細胞の発見
2. Tregが壊れると
→ 自己免疫疾患・アレルギーが起こる仕組みを解明
3. Tregを調整すれば
→ 病気の治療・予防ができると示した
4. Tregを弱める・強める技術を応用
→ がん・自己免疫・移植医療などへ広がる
💡 研究が実際にどう役立つの?
① 自己免疫疾患を治す
Tregを増やしたり、働きを強めることで
→ 免疫の暴走を止める新しい治療法につながる。
② アレルギー治療
Tregの働きを整えることで
→ アトピー、花粉症、喘息などの改善が期待される。
③ がん治療
がんの周りではTregが強すぎて“免疫のブレーキが踏みっぱなし”になる。
そこで
• Tregを一時的に弱めて、がんだけを攻撃できるようにする
という新しいアプローチが可能に。
④ 臓器移植
Tregを利用して
→ 移植臓器を攻撃しない「免疫の寛容」を作る
=拒絶反応が減る。
🧪 京都府が支援している実用化
① Tregを少し弱めて、ワクチン効果を強くする研究
(新型コロナ対策技術事業)
▶ ワクチンは「免疫のアクセル」を踏む必要がある
→ Tregのブレーキを少しだけ弱める薬を加える
→ ワクチンの効きがよくなる
いわば、
「ブレーキを軽くして、ワクチンの反応を高める」 技術。
② Tregを増やして、自己免疫疾患を治す技術
(「企業の森・産学の森」支援)
▶ 自己免疫疾患は“免疫のブレーキ不足”が原因
→ Tregを人工的に誘導して増やす
→ 免疫の暴走を止め、病気を治す新しい治療法へ
**薬ではなく、患者さん自身の免疫を整える「根本治療」**の可能性。
✔️ まとめ
• 坂口志文先生は 免疫のブレーキ役「制御性T細胞(Treg)」を発見
• これで
• 自己免疫疾患
• アレルギー
• がん
• 臓器移植
に関する治療が大きく進歩
京都府は
• Tregを弱めて“ワクチンを強める”研究
• Tregを増やして“自己免疫を治す”研究
を支援しています。

