なぜ「良かれと思った表現」が次々NGになるのか?
1. はじめに|なぜ今、広告規制がここまで厳しくなっているのか
近年、SNSやホームページを通じた過度な集客表現が問題視され、厚生労働省の検討会において継続的に議論が重ねられてきました。
その結果、2025年に向けて広告ルール(ガイドライン)がより明確化され、「知らなかった」「昔からやっている」では済まされない時代になっています。
実際に、ガイドライン違反は行政指導や是正指示の対象となり得ます。
同じ医療系国家資格者として、患者さんの適切な受診機会を守るためにも、何が「できて」、何が「できないのか」を改めて整理しておきましょう。
2. 最大の原則|ポジティブリスト方式とは?
あはき・柔整の広告は、医療法と同様に
「広告してよい内容のみが明示され、それ以外はすべて広告不可」
という、非常に厳格なポジティブリスト方式が採用されています。
▼ 広告として掲載できるのは、原則として以下のみ
• 施術者の氏名
• 施術所の名称・所在地
• 業務の種類(あん摩・はり・きゅう・柔道整復 等)
• 施術日・施術時間
• 予約の有無、休日・夜間施術、出張施術の可否
• 駐車場の有無
• 医療保険療養費の支給申請が可能である旨
※「医師の同意が必要」であることの併記が必須
これ以外の情報は、原則として広告には該当しません。
3. 【要注意】医療従事者が陥りやすい「広告不可」表現
善意で記載している内容が、実は違反になるケースが非常に多いのが実情です。
カテゴリ 具体的なNG表現例 理由・背景
技能・手法 「〇〇式特殊手技」「痛くない鍼」「独自の電気療法」 客観的な裏付けが困難で、優良誤認を招く恐れがある
経歴・実績 「施術歴20年」「延べ3万人を施術」「〇〇大学卒」 技能の優秀性を示唆する個人的経歴は広告不可
効果・効能 「腰痛が治る」「根本改善」「アトピーに効く」 医療機関受診を妨げるおそれ(未承認の医業類似行為)
比較・誇大 「地域No.1」「最高峰の技術」「満足度1位」 他院との比較・優越性の強調は禁止
医療との混同 「診療」「診察」「往診」「リハビリ」「クリニック」 医療機関と誤認させる表現は禁止
4. ホームページやSNSは「広告」に含まれるのか?
以前は「ホームページは広告ではない」という解釈もありましたが、
最新のガイドラインでは、その考え方はほぼ通用しません。
• バナー広告・リスティング広告
→ 明確に「広告」として扱われます。
• SNS投稿(Instagram・X・LINE等)
→ 施術所名を明示し、来院を促す意図があれば広告と判断される可能性あり。
• 施術所名の表記
→ 柔道整復師が不在で「整骨院」を名乗ることは当然NG。
→ 「〇〇メディカル」「〇〇クリニック」など、医療機関と誤認される名称も厳しく制限されます。
媒体の種類ではなく、「集客目的かどうか」が判断基準です。
5. まとめ|規制の本質は「制限」ではなく「信頼」
広告規制は、制約ばかりで窮屈に感じるかもしれません。
しかしその本質は、
「患者さんが誤った情報で判断してしまうことを防ぐ」
という点にあります。
過度な表現に頼らず、法令を遵守した情報発信を行うことこそが、
地域医療を支える国家資格者としての信頼の積み重ねにつながります。

