赤字院でも使える! 最新・賃上げ促進税制の活用術
「スタッフから給料アップの要望がある…でも物価高や光熱費で手が回らない…」
こんな悩みを抱える鍼灸・整骨院(接骨院)の院長先生は多いと思います。
しかし、**2025年度の税制改正で大幅に拡充された「賃上げ促進税制」**を正しく使えば、
給料を上げた分の一部を国が税金でカバーしてくれる仕組みがあり、院の負担をぐっと抑えることができます。
本記事では、
→ 赤字でも活用できる最新の税制
→ スタッフの離職防止につながる戦略的な使い方
をわかりやすく解説します。
(個人事業主への方の注意セクションもあるので最後までご覧ください。)
⑴ 「給料を上げる=院の負担」という常識を捨てる
賃上げ促進税制は、給与総額を 前年より増やした事業者が、その給与増加分の一部を 法人税・所得税から直接控除できる制度です。
ポイントは次の通り
✔️ 基本控除率は給与増加額の 10〜30%程度
→ 一般的には15%〜30%の範囲で税額控除できます(増加率によって変動)。
※ 控除上限は法人税額の 20% まで。
つまり、100万円分給料を上げても、実質負担は70〜80万円程度で済む可能性があるということです(控除率・上限などによります)。
この制度は、単なる「税金の節約」ではなく、「賃上げをしながら税金負担も抑えられる制度」なのです。
⑵ 赤字院でもメリットを残す「繰越控除」
従来の税額控除は 黒字でなければ効果が薄かったのですが、2024年度税制改正により、控除の繰越期間が最長5年間となりました。
つまり今期赤字で控除できなくても、
➡ 来期黒字になったときにその分を 控除に回せるのです。
ただし注意点として、
⚠ その後の年度でも 給与総額が前年度より増加していなければ、繰越控除を実際に使えない仕組みになっています(控除権利自体は残る)。
ポイント
今が苦しくても、「給与増の実績」を作っておくことは、将来の税金対策として非常に価値があります。
⑶ 「教育訓練費」で控除率アップ!
賃上げ促進税制には 上乗せ要件が複数あり、条件を満たすと 税額控除率がさらに高くなります。
例えば:
📌 給与支給額の増加率に応じた上乗せ
📌 教育訓練費を前年度より増やす
📌 くるみん・えるぼしなど人材育成系認定を取得
教育訓練費のポイント
• 前年度比で増加していること
• 教育訓練費が給与総額の0.05%以上であること
これらを満たすと 10%〜15%程度の上乗せ控除が可能です。
つまり…
💡 給料を上げるだけでなく、
→ セミナー・研修費を院が負担
で支援することで、控除率が大きくなり
院にもスタッフにもメリットが出せるのです。
⑷ 先手を打つべき理由 ― 2026年診療報酬改定にも好影響?
2026年度の診療報酬・療養費改定を控え、国は 賃上げに前向きな事業者を評価する方向とされています。
つまり、
「後から制度が良くなるのを待つ」より
→ 今から賃上げ実績をつくる方が経営上有利
という可能性があります。
給料アップが評価される流れは、これからの医療・福祉業界でも追い風になるかもしれません。
💡 まとめ
給料を上げるのは、経営が良くなってからではありません。
税制を賢く使って給料を上げるから、良いスタッフが残り、経営が良くなるのです。
賃上げ促進税制はただの「節税」ではなく、
「人材確保 → 離職防止 → 経営強化」の一連の好循環を生む制度です。
⚠ 制度活用の注意点(必ずチェック)
✔ 控除の適用には 正確な給与データの比較計算と申告書類の添付が必要です。
✔ 教育訓練費を有効と認められるためには 明細や根拠の保存が必要です。
✔ 控除額の上限(法人税額の20%以内)は制度上の制約です。
※ 詳細な適用要件や手続きは税務署や税理士に必ず確認してください(制度は年度ごとに変更される可能性があります)。
【追記】個人事業主の院長が使うときの注意点
ここまで読んで
「これは法人向けの話では?」
と感じた個人事業主の院長先生もご安心ください。
賃上げ促進税制は、個人事業主でも利用可能です。
ただし、法人と“まったく同じ効果”ではないため、以下の点は必ず押さえておく必要があります。
① 個人事業主は「税額控除」ではなく【所得控除】
法人の場合は
👉 法人税から直接マイナス(税額控除)
一方、個人事業主の場合は
👉 **所得そのものを減らす(所得控除)**仕組みです。
つまり、
• 税金がダイレクトに減る法人に比べ
• 個人事業主は所得税・住民税・国民健康保険料が下がる
という形で効果が出ます。
✔ 所得が高い院長ほど節税効果は大きく
✔ 所得が低い年は効果が小さくなります
② 赤字の年は「その年の節税効果は出にくい」
法人では
→ 賃上げ控除の 繰越(最長5年) が使えますが、
❗ 個人事業主の場合
• 赤字の年は控除の恩恵が出ない
• 原則として「控除枠の繰越」も使えません
そのため個人事業主は、
💡「黒字が見込める年に賃上げする」
というタイミング設計が非常に重要になります。
③ 青色専従者給与も【対象】になる
これは個人事業主ならではの強みです。
• 配偶者や家族への青色専従者給与も、賃上げ促進税制の「給与総額」に含めることができます。
✔ 専従者給与を適正に引き上げる
✔ かつ帳簿・届出が正しく整っている
この2点を満たせば、
家計と院の両方にメリットが出る設計が可能です。
④ 教育訓練費(セミナー代)は個人事業主でも有効
スタッフや専従者の
• 技術セミナー
• 研修会・講習会
• 資格更新講座
これらは通常の経費として認められるだけでなく、
賃上げ促進税制の評価上もプラスに働きます。
👉 「給料+教育投資」をセットで行うことで
スタッフ満足度と節税効果を同時に高めることができます。
⑤ 個人事業主が失敗しやすい落とし穴
最後に、よくある注意点です。
❌ 売上が読めないまま大幅賃上げ
❌ 赤字確定の年に無理に給与アップ
❌ 専従者給与の金額変更を届出せず実施
これらは制度を活かすどころか、逆にリスクになります。
💡【個人事業主向けまとめ】
個人事業主でも賃上げ促進税制は使えます。
ただし「法人と同じ感覚」で使うと失敗します。
• 黒字が見込める年を狙う
• 専従者給与を戦略的に設計する
• 教育費と組み合わせる
これが、鍼灸・整骨院の個人事業主の活用法です。

